運転資金が無くなれば会社は倒産する!突然の黒字倒産に備えるための4つの対策

運転資金が無くなれば会社は倒産する!突然の黒字倒産に備えるための4つの対策

企業が倒産するのは赤字が何期も続いた時でも、債務超過になったときでもありません。

運転資金が無くなったときに企業は倒産します。つまり、売上が右肩上がりに成長して毎月の営業利益が増加している会社でも運転資金がなくなれば倒産してしまいます。

このように黒字企業が突然倒産する事を黒字倒産と言います。本記事ではなぜ黒字倒産が発生するのか、その原因と対策について説明します。

【黒字倒産はなぜ発生するのか】

まずは黒字倒産が発生するメカニズムについて検証します。黒字倒産は、損益計算書上は黒字となっているのに運転資金が減少している時に発生します。

この原因としてはいくつかのパターンが考えられます。

<事業の成長にキャッシュフローが追い付かない>

例えば、キャッシュアウトのタイミングが早くてキャッシュインのタイミングが遅いビジネスモデルになっていて、キャッシュアウトからキャッシュインまでの間に確保しておかなければならない運転資金の量を見誤った場合です。

急激に成長するビジネスを行う際には感覚以上に多額のキャッシュが必要となります。

例えば、倍々に成長していく事業についてシミュレーションを行います。1か月目の売上げは100万円、売上原価と販管費は80万円とします。

そこから1か月毎に2倍になっていくビジネスの資金繰りにはいくら必要なのかについて計算を行います。

なお、キャッシュアウトのタイミングは毎月末と仮定します。

まず、この商売が現金商売ですぐにキャッシュインされる場合は運転資金について以下のようになります。

1か月目 2か月目 3か月目 4か月目 5か月目 6か月目 7か月目 8か月目
売上 100 200 400 800 1,600 3,200 6,400 12,800
売上原価+経費 80 160 320 640 1,280 2,560 5,120 10,240
営業利益 20 40 80 160 320 640 1,280 2,560
キャッシュイン 100 200 400 800 1,600 3,200 6,400 12,800
キャッシュアウト 80 160 320 640 1,280 2,560 5,120 10,240
差引 20 40 80 160 320 640 1,280 2,560
累計 20 60 140 300 620 1,260 2,540 5,100

 

1か月目からキャッシュインがキャッシュアウトを上回って差引でプラス20万円となっています。

2か月目以降を見ても毎月安定して差引がプラスとなっているので運転資金については心配する必要はありません

では、この事業のキャッシュインが1か月後になればどうなるでしょうか。そのシミュレーションが図2です。

1か月目 2か月目 3か月目 4か月目 5か月目 6か月目 7か月目 8か月目
売上 100 200 400 800 1,600 3,200 6,400 12,800
売上原価+経費 80 160 320 640 1,280 2,560 5,120 10,240
営業利益 20 40 80 160 320 640 1,280 2,560
キャッシュイン 100 200 400 800 1,600 3,200 6,400
キャッシュアウト 80 160 320 640 1,280 2,560 5,120 10,240
差引 (80) (60) (120) (240) (480) (960) (1,920) (3,840)
累計 (80) (140) (260) (500) (980) (1,940) (3,860) (7,700)

 

毎月の営業利益は図1と同様ですがキャッシュインのタイミングが1か月変わっただけで資金繰りの難易度は一気に変化します。

急激な成長に対して資金が追い付いていない状態で、毎月資金が流出しています。

1か月目の資金の流出量は80万円で、そこから安定して資金の流出は増え続けて、8か月目には単月で3840万円、累計で7700万円のキャッシュが事業から流出してしまいます。

急激に成長するビジネスには多額のキャッシュが必要なことがわかります。

このようにビジネスの急激な成長に対してキャッシュインが追い付かないというのが黒字倒産の理由だと考えられます。

<不良在庫や遊休資産が増えて資金が滞留してしまっている>

もう1つの原因として考えられるのが、不良在庫や遊休資産が増えて資金が滞留しているケースです。

不良在庫や遊休資産は貸借対照表上では資産に計上されますし、不良在庫や遊休資産を購入しても損益計算書には計上されないので資金を滞留させて資金繰りを悪化させているということには、よく注意しないと気づきません。(厳密に言えば遊休資産は減価償却費を発生させます)

黒字倒産に至った会社の資産を調べてみると、実質的に販売できないような在庫が眠っているという事は少なくありません。

このような資金の滞留を発生させる資産を社内に抱え込んだ結果黒字倒産にいたってしまいます。

【黒字倒産対策1:キャッシュフローを円滑にする】

では、黒字倒産を防ぐためには何をすれば良いのでしょうか。

黒字倒産を防ぐためにもっとも有効な手段はキャッシュフローを円滑にするということです。

先ほど事業の成長にキャッシュフローが追い付いていない事例について紹介しました。

当月にキャッシュインしていれば急成長してキャッシュリッチになるはずのビジネスモデルでもキャッシュインが1か月遅れるだけで、大量のキャッシュが事業から流出することは上のシミュレーションの通りです。

このように急速に拡大する事業の場合はファクタリングを利用することによってキャッシュインのタイミングを早くするのが有効です。

例えば、売上に対して5%の手数料を支払って当月に現金化できた場合、資金は下の図の通り変化します。

1か月目 2か月目 3か月目 4か月目 5か月目 6か月目 7か月目 8か月目
売上 100 200 400 800 1,600 3,200 6,400 12,800
売上原価+経費 85 170 340 680 1,360 2,720 5,440 10,880
営業利益 15 30 60 120 240 480 960 1,920
キャッシュイン 100 200 400 800 1,600 3,200 6,400 12,800
キャッシュアウト 85 170 340 680 1,360 2,720 5,440 10,880
差引 15 30 60 120 240 480 960 1,920
累計 15 45 105 225 465 945 1,905 3,825

 

ファクタリングと言えば、手数料が高いので資金繰りに悪影響を与えると言うイメージを持つ人もいるかも知れませんが図3の通り、キャッシュインを早める事が支払う手数料以上に良い影響を与えるケースも存在します。

なお、債権について手形として取引先から受け取っている場合は手形割引を利用する事もできます。

【黒字倒産対策2:事業の急拡大を狙わない】

他の黒字倒産対策として挙げられるのが事業の急拡大を狙わないという事です。

事業を拡大するためにはそのための運転資金が必要となります。

しかし、運転資金が不足している場合は事業を拡大せずに、一定の規模で拡大をストップしたり、拡大スピードを緩めたりする必要があります。

キャッシュインまでの期間を1か月として図4は売上800万円で事業の拡大をストップした図、図5は成長スピードを2倍から1.2倍まで緩和させた図です。

図4について売上800万円で安定した場合は8月で累計のキャッシュが黒字化し、4か月目の累計マイナス500万円を補填する運転資金を用意すれば良いという事がわかります。

1か月目 2か月目 3か月目 4か月目 5か月目 6か月目 7か月目 8か月目
売上 100 200 400 800 800 800 800 800
売上原価+経費 80 160 320 640 640 640 640 640
営業利益 20 40 80 160 160 160 160 160
キャッシュイン 100 200 400 800 800 800 800
キャッシュアウト 80 160 320 640 640 640 640 640
差引 (80) (60) (120) (240) 160 160 160 160
累計 (80) (140) (260) (500) (340) (180) (20) 140

図5について売上の成長が1.2倍で成長した場合は1か月目に80万円のキャッシュが流出しますが2か月目からはキャッシュインの方が多くない、10か月目に累計でもキャッシュがプラスになるという事がわかります。

1か月目 2か月目 3か月目 4か月目 5か月目 6か月目 7か月目 8か月目 9か月目 10か月目
売上 100 120 144 173 207 249 299 358 430 516
売上原価+経費 80 96 115 138 166 199 239 287 344 413
営業利益 20 24 29 35 41 50 60 72 86 103
キャッシュイン 100 120 144 173 207 249 299 358 430
キャッシュアウト 80 96 115 138 166 199 239 287 344 413
差引 (80) 4 5 6 7 8 10 12 14 17
累計 (80) (76) (71) (65) (59) (50) (40) (28) (14) 3

【黒字倒産対策3:キャッシュを用意する】

また、事業急拡によって資金が必要だと言う事はポジティブな資金需要なので銀行との資金調達交渉でも有利に働きます。

また事業の急拡大が必要で銀行からの融資では足りないという場合はベンチャーキャピタルからの融資も検討することになります。

いずれにしても事業を拡大できるうちに拡大するに越した事はないので積極的に資金調達を行った方が良いでしょう。

ちなみにこのように調子の良い時期は、事業拡大に伴い無駄な投資も行いがちです。

もちろん、経営に失敗はつきものですが、無駄な在庫を増やしたり、遊休資産を増やすとそれが後々経営上の重荷になりかねないので、何に投資するべきかについてはよく考えた方が良いでしょう。

【黒字倒産対策4:未収金管理をきちんと行う】

また、未収金管理をきちんと行う事も必要です。

損益計算書上は、売掛金は売上となっているので利益が発生しているように見えます。

しかし、いくら売掛金が増えても現金化できなければ意味がありません。

黒字になっているけれども未収の売掛金が多い企業は危険です。売掛金の分だけ税金は発生してしまいますが、キャッシュインが無いからです。

このような理由から黒字倒産のおそれがある企業は、まず自社の売掛金の中に未収になりそうなものは無いか、どのように取り立てるのかについてよく考えた方が良いでしょう。

【最後に】

以上のように黒字倒産の原因と対策について説明してきました。

赤字の企業は案外、倒産しません。

赤字と言う事で慎重に経営されているのでなかなか運転資金が無くなる事はないからです。

一方で黒字倒産は突然死のようなもので調子の良かった企業がある日突然資金が無くなって倒産してしまいます。

この黒字倒産の兆候に経営者はなかなか気づく事はできません。

しかし、常日頃から資金繰りを管理していれば黒字倒産が発生するかもしれないことは簡単にわかります。

黒字倒産対策は本文中で説明したとおり様々な手法があるので、突然の黒字倒産を発生させないようにまず資金繰りを管理する事からはじめると良いでしょう。

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